To Home   SONY TA-D88  ダブルウーハを2分割  TA-D88のオーバーホールと整流ダイオード・SBD化

 
★SONY 「TA-D88」 「TA-D900」 フィルターユニットの周波数変更について★

 
  このページでJBL38センチダブルウーハーを225Hzで2分割し、中高域はTD-4001を800Hzでクロスした3 Way マルチシステムのご紹介をした。チャンデバはSONYのTA-D88を使用している。ダブルウーハーの2 Wayマルチから3 Wayマルチに変更後の音は低域が充実し、良く弾むジャズ・ベース、キックドラムの分解能、オーケストラの低域分解能向上など、音楽の基本である低域の音質改善に顕著な結果が得られた。3 Wayマルチ化への改造は多いに気を良くしている昨今である。

しかし、それもつかの間、ミッドバスとドライバー(TD-4001)のカットオフは800Hzがベストなのだろうか?、と言ういつもの疑問をもつのである。3 Way化に伴いTA-D88のフィルターユニットは、低域のクロス225Hzに『ユニット-1』を使用、ドライバーとのクロスオーバー周波数800Hzには、『ユニット-2』を使用している。

ユニット-2のクロス周波数の選択は500Hz、800Hz、1kHzである。「500Hzでは少し低い、800Hzでは少し高い」、「600Hzか700Hzで聴いてみたい」と思うのは、自然の成り行きではないだろうか。マルチシステムに取り組んでおられる方には、この気持ちがご理解いただけることでしょう。500Hzと800Hzでの音質変化は大きいが、500Hzと600Hz、あるいは700Hzと800Hzでは「何が違うの?」と思われる方もおられると思うが、これがマルチシステムなのである。

TA-D88のフィルターユニットは、600Hzと700Hzにセットできるユニットが標準品では存在しないのである。実はこれらのフィルターユニットは、後にリリースされたTA-D900と相互に互換性を持つのであるが、TA-D900の発売時に『ユニット-0』(50Hz、80Hz、100Hz)が追加され、TA-D88とTA-D900で使用できるフィルターユニットは、『ユニット-0〜ユニット-4』の5種類になった。しかし、依然として600Hzあるいは700Hzにセットできるユニットは存在しないのであった。

注)TA-D88とTA-D900のフィルターユニットは互換性を持つが、ユニット内にマウントされているコンデンサーの種類は異なる。TA-D88付属のユニットはポリプロピレン、TA-D900・ESPRITにはシルバードマイカが使われている。UNIT-4の620pはスチロールコンデンサ(スチコン)である。


 



   ■『UNIT-S2』 (350Hz、560Hz、700Hz)を発見!
もっとも希望の周波数にセットしたければ、ユニット内の定数を変えれば済むことではある。その内時間がとれたら定数変更でも・・、と思っていた矢先に『UNIT-S2』なるものを発見した。UNIT-S2のカットオフ周波数は、350Hz、560Hz、700Hz、正にこれである。

実はこのユニットは、知人がTA-D900を購入した折、本体と一緒に入手されたユニットである。筐体には「SPECIAL CROSSOVER FREQUENCY UNIT」・「UNIT S2」と印刷されている。恐らくソニーがユーザーからの熱きリクエストに応えて「UNIT-2のスペシャル・バージョン」としてリリースしたものと思われる。早速このユニットの定数をメモしておいたのは言うまでもない。ここで改めて各ユニットのカットオフ周波数を下記にまとめてみた。
 
UNIT-0  50Hz ・ 80Hz ・ 100Hz
UNIT-1  140Hz ・ 225Hz ・ 280Hz
UNIT-2  500Hz ・ 800Hz ・ 1kHz
UNIT-S2  350Hz ・ 560Hz ・700Hz
UNIT-3  1.25kHz ・2kHz ・ 2.5kHz
UNIT-4  5kHz ・ 8kHz ・ 10kHz
 

 
  ■未使用のユニットを『UNIT-S2』に改造する
右の写真はTA-D88付属のUNIT-3の中身である。ユニットの内部は、左右にある2枚の基板にカットオフ周波数を決めるフィルムコンデンサーがマウントされている。この写真の方向で裏蓋を開けたとき、左に見える基板が『A』基板、右側が『B』基板である。『A』、『B』は基板にシルク印刷で表記されているので識別は容易であろう。このコンデンサーを交換することで(定数決定の検討は要するが)カットオフ周波数はいかようにも設定できるわけである。

上記の表より、UNIT-3は中高域に1インチドライバーを使用する時には必須のユニットであろう。しかしこの先1インチドライバーの使用予定もないので、この際UNIT-3の定数を入れ替え、UNIT-S2への改造を試みた。現在把握している各ユニットの基板にマウントされているコンデンサの定数は、下記のとおりである。

『各ユニットのコンデンサ定数表』
「UNIT-0」の定数・50Hz 80Hz 100Hz
C601 C602 C603 C604
A基板 0.2μ 0.2μ 0.2μ 0.2μ
  C605 C606 C607 C608
B基板 0.12μ 0.11μ 0.16μ 0.062μ
  
「UNIT-1」の定数・140Hz 225Hz 280Hz
   C611 C612 C613 C614
A基板 0.082μ 0.082μ 0.082μ 0.082μ
  C615 C616 C617 C618
B基板 0.043μ 0.039μ 0.056μ 0.022μ
 
「UNIT-2」の定数・500Hz 800Hz 1kHz
  C621 C622 C623 C624
A基板 0.022μ 0.022μ 0.022μ 0.022μ
  C625 C626 C627 C628
B基板 0.012μ 0.011μ 0.016μ 0.0062μ
 
「UNIT-S2」の定数・350Hz 560Hz 700Hz
  C6*1 C6*2 C6*3 C6*4
A基板 0.033μ 0.033μ 0.033μ 0.033μ
  C6*5 C6*6 C6*7 C6*8
B基板 0.016μ 0.015μ 0.022μ 0.0091μ
  
「UNIT-3」の定数・1.24kHz 2kHz 2.5kHz
  C631 C632 C633 C634
A基板 0.0091μ 0.0091μ 0.0091μ 0.0091μ
   C635 C636 C637 C638
B基板 0.0047μ 0.0043μ 0.0062μ 0.0024μ
 
「UNIT-4」の定数・5kHz 8kHz 10kHz
  C641 C642 C643 C644
A基板 0.0022μ 0.0022μ 0.0022μ 0.0022μ
  C645 C646 C647 C648
B基板 0.0012μ 0.0011μ 0.0016μ 620p
 
「UNIT-3S」の定数・3.5kHz 5.6kHz 7kHz・・2015.11.20追記
C6*1 C6*2 C6*3 C6*4
A基板 0.0033μ 0.0033μ 0.0033μ 0.0033μ
C6*5 C6*6 C6*7 C6*8
B基板 0.0016μ 0.0015μ 0.0022μ 0.00091μ
 
 





『A』基板と『B』基板


コンデンサーのリファレンス番号「C6X1〜C6X8」の「6」はユニット基板共通。「X」はユニット番号を示す。
(例)C612の「1」はユニット-1を示す。
 
 

 

 シルバードマイカコンデンサ
 


 
UNIT-S2 “海賊版” の完成
■UNIT-S2用のコンデンサはシルバードマイカを使用
上記の表のとおり、ユニットのカットオフ周波数変更にはE-24系列のフィルムもしくはマイカ系のコンデンサーが必要なのである。しかし、問題なのはE-24の定数は一般的には購入が難しいと思う。しかも少量であればなおさら、例えば秋葉での入手もかなり難しいものと思われる。

もっと厄介なのは、ユニットのハウジング内のスペースが狭いため、複数コンデンサーの並列マウント(裏付等)での容量調整も困難を極める。従ってこのページを参考に定数変更をする場合には、先ず最初にコンデンサーを入手してから、その後改造作業をスタートすることをお進めする。

TA-D88リリース時のフィルターユニットには、ポリプロピレン系のフィルムコンデンサが使用されている。その後リリースされたTA-D900・ESPRITのフィルターユニットは、より高域特性にすぐれたシルバードマイカが使用されてる。当時のソニー・ESシリーズの製品にはこのコンデンサーが多用されていた。

少量ではあるが、幸いにも手元に当時のシルバードマイカがほぼE-24の定数でストックされており、それを使用してUNIT-S2に改造できた。改造後時間をかけて聴いてはいないが、シルバードマイカを搭載したUNIT-S2は高域のヌケがすこぶる良い。ついでに比較用のUNIT-2のポリプロピレンコンデンサーもシルバードマイカに変えて、ユニット間での音質を合わせておいた。

写真はラベルも貼られた『UNIT-S2』の完成版(海賊版?)である。
 


    ■UNIT-S2の周波数特性  
図はUNIT-S2のローパス/ハイパスの周波数特性の実測データを示す。クロス付近でのリップルもなく、素直に減衰するスロープ特性はベッセル型の特徴。傾斜は−24dB/octである。

緑線は350Hzポジション
青線は560Hz
赤線は700Hz

−3dB点で見ると表示周波数とは若干ずれているデータではあるが、実用上の問題はない。
 
■3 Way マルチのOA周波数特性 カットオフ225Hz(UNIT-1)、700Hz(UNIT-S2)に設定された3 Wayマルチのオーバーオール(OA)の周波数特性である。

ウーハーとミッドバスはJBL225J、中高域は2インチドライバー、TAD TD-4001が受け持つ。

各スピーカーの駆動アンプは
低域:KT88パラレルPP「HK-13」・出力90W
ミッドバス:KT88 PP「HK-10」・出力45W
ドライバー:300B PP「HK-16」・出力35W パーマロイOPT搭載機
ラインコントロールアンプには「HK-2000SP」低インピーダンス出力機のラインアップである。
 

 

UNIT-1とUNIT-S2がマウントされたTA-D88
ソニーのチャンデバTA-D88導入以前は、TA-D900の回路(基本回路はTA-D88も同じ)をコピーして設計された、自作のチャンデバを長い間使用していた。主に2 Way モードである。自作チャンデバの製作にあたり、ドライバー・TD-4001のクロスオーバー周波数は多いに悩みなかなか決まらなかった。何度かクロスオーバー周波数を変えながら、最終的に決めたのは600Hzである。

以来自作チャンデバは18年ほど使用されていたわけであるが、そんな経験の中で600Hzの音が頭から離れず、チャンデバをTA-D88に変えてからのクロス周波数が、500Hzまたは800Hzでは精神的にやや落ちつかない音であったことも否めない。
 
今回UNIT-S2の定数が把握できたことで、長年聴いていた600Hz近辺にクロスオーバー周波数を設定できることになった。現在短時間での試聴ではあるが、800Hzではやはり高すぎる。UNIT-S2の700Hzポジションの実測周波数は640Hz近辺を示すので、S2を挿入して700Hzポジションにセットした3 Wayで聴くことにした。

UNIT-S2で使用したシルバードマイカの高域再生能力は高い。TA-D88のユニットに使用されているポリプロピレン(フィルム系)が悪いわけではないが、それにしてもTA-D900 ESPRITに付属するフィルターユニットで使用されているシルバードマイカは、高域のエネルギー感と言うか、青空に突き抜けるような見晴らしの良さを感じる。当時TA-D900が『最強チャンデバ』と言われていたのは、強靭な作りであることもさることながら、その音質はもしかするとシルバードマイカの恩恵が大であったのではと推測できる。
 



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