To Home  SONY 『TA-D88』  TA-D88・フィルターユニット周波数変更について

■TA-D88・オーバーホールと整流ダイオードのSBD化による、システムの音質改善・実験レポート■
大西 正隆・山根 禧夫  Nov. 2009 updated

現在私のマルチアンプシステムのチャンデバには、1978年に発売されたSONY 『TA-D88』を使用しています。発売以来30年もの時が経過していますが、現在なおTA-D88を現役でお使いの方も多いと思います。しかし、何せ30年の年月によるパーツの劣化は避けられず、いささか“埃っぽい・古臭さ”みたいな音に聞こえているのはやむをえません。

過日カットオフ周波数の切換スイッチの接点洗浄をした際、気がかりな部品を交換しながらリフレッシュ、いわばオーバーホールを実施しました。先ず最初に交換したパーツは、バッファーアンプのオフセット調整用の半固定抵抗器8個です。外見では特に問題が出ているものではありませんが、より調整の精度を求めて多回転型の半固定抵抗器に交換です。

オリジナルのアルプス製半固定では、±0.1mVに調整するのが精一杯ですが、これを多回転型に交換することで±数十μVに追い込むことが可能になります。しかし、オフセット電圧は±0.1mV位に調整できれば特に弊害が出る値ではありませんが、この半固定が接触不良を起こすと、オフセット電圧が瞬時に大きく飛んでしまい、突然大音量ノイズが発生する恐れがあります。

半固定の交換をトリガーに、ケミコン、整流ダイオード他本機で使用されているパーツの見直しをし、フレッシュな部品に交換しリフレッシュを図りましたが、特にシリコンダイオードをショットキー・バリア・ダイオード(SBD)に交換した時の音質改善効果は大きく、TA-D88のSBD化に伴いシステム内の機器全般の見直しに発展してしてしまったのです。

SBDとシリコンダイオードについては、多くのサイト上で解説されていますので一度検索してみてください。一言で言えば、SBDはシリコンダイオード(PN接合ダイオードと言う)と比べて、『逆回復時間が短い』ため『高周波の整流に適している』ダイオードで、主には高い周波数を扱う機器に使用される“超高速スイッチングダイオード”というわけです。

整流ダイオードのSBD化の結果は、ほどよく低域がしまり、中高域は晴れ晴れ、システム全体のひずみ感がなくなり、それでいて滑らか、シルキーな音、我がマルチアンプシステムがこれらのチューニングでグレードアップが図られた次第です。

しかしながら、シリコンダイオードからSBDへの変更は音質変化が大きく、機器によては音質バランスを崩すこともありますので注意が必要です。

■TA-D88のリフレッシュ
 
「マウント部品の交換」
1)オフセット調整用半固定抵抗器(100Ω)→多回転型半固定抵抗器(コパル・CT9W 16回転)に交換
2)ケミコン交換→日ケミ・KMG、ニチコン・FG、ミューズ
3)ポリプロピレン→シルバード・マイカコンデンサーに置換
4)ハイパスフィルターバッファーアンプ部の出力コンデンサ・ディップタンタル交換

5)定電圧部コントロールTR交換
  2SAC1173→2SC4935 2SA473→2SA1869
6)定電圧コントロールTR放熱器補強
 
今回はバッファーアンプ部の抵抗の交換は実施していません。オリジナル設計では当時の1/4Wカーボン(大きさは現在の1/2W相当)が使用されています。この当時の抵抗は特に“音質に配慮”されたものではなく一般品です。これをオーディオ用の金属皮膜抵抗等に交換することで、さらにソリッドでクリアーな抜けの良い音になるはずでありますが、抵抗の変更はシステム全体の音質を見極めながら必要性を判断したいと思っています。もし後日変更するのであれば、タクマン製の金皮・REYが良かろうと思いつつ、しばらくは様子見というところです。
 

「電源基板整流ダイオードの交換」
TA-D88の信号系電源部(整流)の整流器はシリコン・ダイオードが使用されている。現在の半導体オーディオ機器では、半ば常識的にファースト・リカバリーダイオード(FRD)、あるいはショットキー・バリアダイオード(SBD)が使用されている。

TA-D88の発売当時(1978年)には、オーディオ機器の電源に使用できるダイオードはSBDはおろかFRDさえも存在しなかった時代である。ちなみにオーディオ用として名高いFRD「30DF2」が開発されたのは1979年ごろであった。

TA-D88の3年後の1981年に発売された「TA-D900」の信号系電源の整流ダイオードは、30DF2が採用されている。同時にこの時期あたりを境に『オーディオ用・高音質部品』が開発されたように記憶をしている。

そこで今回はTA-D88の整流ダイオードをSBDに交換する。使用したSBDは手持ちのフェアチャイルド『SB560』60V 5A、これでブリッジを組む。SBDは基板にマウントは出来ず、基板裏のスペースもあまり広くなく、SBDブリッジよりリード線を引き出して切り抜けた。

同時に整流用ケミコンも交換しリフレッシュした。オリジナルの定数3300μ/25Vを4700μ/35V(日ケミKMG)に交換、容量アップと定格アップを試みた。
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「SBD・をマウント」


■システム内各機器のチューニング
 
「HK-2000の整流ダイオードSBD化」
TA-D88のリフレッシュ効果はかなり大きな音質改善効果が得られた。古臭さが一掃され、芯がしっかりした晴れ晴れしい音質を取り戻したのは、フレッシュなケミコン交換、そして他のパーツ交換の成果もあると思うが『整流ダイオードのSBD化』による恩恵が大きいと思う。

そこでシステム全体の見直しを図った。先ずはラインコントロールアンプ『HK-2000』の整流ダイオードのSBD化である。
SBDの真空管アンプへの対応は、逆耐の高い高圧SBDが必要である。HK-2000の電源トランス二次側はACは130Vの倍電圧整流である。従ってSBDは「AC130Vx2x1.414=368V」の耐圧が必要となる。

近年真空管アンプに対応した高圧SBDも販売されているが、安価で入手の容易なのは耐圧100V品である。今回は、耐圧100V 1AのSBDを4本シリーズにして、400V耐圧のSBDとしている。SBDのVfは、小電流領域では1本約0.25V前後、4本シリーズで1V前後となる。

写真左上が4本シリーズのSBDである。空中配線では信頼度に乏しいので、厚紙を台紙として接着剤を充填してる。
写真左下が『HK-2000』にSBDをマウントした様子である。

HK-2000は元々高音質プリとして評価は高いが、ダイオードのSBD化で気持ちではるが、高域方向の見通しが良くなったようである。同時に低域が少し締まって、滑らかさが増したようにも思える。
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「DAS-703ESの整流ダイオードSBD化」
次はD/Aコンバータ『DAS-703ES』の整流ダイオードをSBDに換装した。DAS-703のオリジナル設計は、デジタル系の整流器はSBD、アナログ系はFRDが採用されている。

ここで迷うのは整流ダイオードのSBD化は高域の音質改善もさることながら、低域もしまってくる。過度に低域が締まってくると、システムによっては低域の量感不足を招くかも知れないのである。

そこでいつでもオリジナルに戻せるように、裏付けでSBDを取り付けた。もっともオリジナルのFRDは、カソードコモンとアノードコモンの3端子、基板部品面での置き換えは難しい事情もある。
(09.11.20 Updated)  ↓↓
DAS-703ESのSBD化は高音域が晴れ晴れ、抜けの良い音質に変化します。しかし、その一方でソースによっては少し中高域、特にピアノの高音域、あるいはトランペットなどの金管楽器での金属音が耳につきはじめました。シングルコーンのスピーカーではSBDの効果はあると思いますが、ホーンスピーカでは落ち着きがなくなる感じは否めません。こんな背景からDAS-703ESのSBD化は“ボツ”、オリジナルのFRDに戻しています。

 
■リフレッシュ後のシステムの音質について
今回チャンデバTA-D88のオーバーホールに端を発して、この際システム全体のチューンアップを図ったマルチ・アンプシステムもどうやら成功裏に収斂したようです。特に整流ダイオードのSBD化は音質『変化』が顕著です。しかし、だからといって盲目的になってはいけません。システム全体の音を見定めながら、個々に対応すべきと考えます。

パワーアンプはモデルにより、一般のシリコンダイオードとFRDが混載されていましたので、この際全アンプの整流ダイオードをサンケン「RG4C」・1000V 1AのFRD(超高速・trr=100ns)に統一しました。ただ一般のシリコン・ダイオードからファースト・リカバリーへの変更による音質変化は、さほど大きなものではありません。しかし少なくとも悪化することはありません。

メーカー製品の「改造」についてですが、私は本来『メーカー製品の改造はやるべきではない』と思っています。それは何であれオリジナル設計に手を加えることで、オリジナルとは“別物”になってしまうからです。設計者の設計コンセプトは尊重すべきものと思いつつ、それでも手を加える場合は、このことを踏まえて最小限の改造にとどめ、そしていつでも元に戻せるように考えておくことを念頭においています。

しかしそうは言ってもTA-D88の場合は、もはや「アンティーク領域」に突入した製品で、その音にも古めかしさを感じます。30年もたてば「設計コンセプトも時効」でしょうか?・・・・・。古い機械を実用機として使い続けるためには、やはりリフレッシュが必要です。長らく働いてくれた部品には敬意を払いながらそっと引退願い、この先しばらくの活躍を願いながらフレッシュな代替部品に置き換えた次第です。
 


実はこれら一連の整流ダイオードのSBD化は、同時進行で鳥取の山根氏にご協力をいただきながら進めてきました。山根氏のシステムはこのページで紹介されていますのでご覧下さい。以下は整流ダイオードのSBD化による山根氏の評価レポート抜粋です。

■本日送って頂きましたSBDが届きました。HK-14(CR型フォノEQ)は手持ちのSBD/200Vを直列に繋いで、昨夜ダイオード交換の準備を行い、今日の午後に交換しました。先程から最近購入したヨーロッパ・ジャズLP/ALEX RIEL TRIOとTOMMY FLANAGAN TRIO(’96高音質盤)を聴いています。

そうです、高域がクリヤーになった!と云うよりはむしろ全体が締まったので高域がクリヤーになった、ピアノの音に艶が増してベースが弾んで、ドラムの切れが増した!

SBD効果が思惑以上の音質向上で興奮して目が冴えて、今、デスクユニオンから1,450円で購入したBLUE NOTE/GRANT GREEN”IDEL MOMENTS”を聴いています。安価な再販盤ですが、HK-14の音質向上で高音質盤を凌ぎます!

SBDをもう1組お願い出来ればと思いますが、お願い出来ますか?(400Vを3組)、TさんのHK-2000、HK-14、もグレード・アップして上げたいと思っています。今、TさんへDAS-703ESをお貸ししていますので、DAS-703用のSBDもお持ちであれば1組お願い出来ますか?。これから弊方のDAS-703ESの改造に掛かります。

■先程、DAS-703のDi交換が終了しました。今、ケイ赤城トリオのCD、ドボルザーク・イン・プラハを聴いていますが、明らかに締まりが増している感じです。バイオリンの音が艶っぽくなって、低域の押し出し力が強まった!!!。いやー、いいですなー!。これにHK-2000を変更すると、どうなっちゃうんだろー???何やらドキドキしますねー。

ドボルザーク・イン・プラハのCDは録音は、まあーそこそこだなー、と今迄聴いていましたが、曲が進むにつれて音質が更に向上して、高音質CDです。特に「フレデリカ・フォン・シュターデ」のメゾ・ソプラノが素晴らしい!

■先程HK-2000(ラインアンプ)の交換を終えて、CDを聴いています。CDのタイトル:フレンズ・フォー・エバー、ニールス・H・O・ペデルセン(b)、リニー・ロスネス(p)、イオナス・ヨハンセン(ds)

このCDの1曲目「ハッシャ・バイ」のニールス・H・O・ペデルセンのベースが弊方の理想とする響きになりました、
この締まり具合と力強さが真さに追求していた音です!!!

HK-2000での効果は、DAS703、HK-14の効果に”プラス中低域が締まって力感が増す作用”ですかね、トータルとしての効果(音)は凄いです。今はケイ赤城トリオを聴いていますが、明らかに力感が増して心地良く床が揺れています。・・・・☆☆☆☆☆星五つ!。



明後日の日曜日にTさんの都合が宜ければ、HK-14、HK-2000、DAS-703を1日掛かりで交換したいと考えています。Tさんへは「その内に楽しみな事をやりますから」と、電話で伝えてあります。Tさんの喜ばれる顔が今から目に浮かびます。

■本日、TさんのHK-2000、HK-14、DAS703ESのSBD化を行って来ました。作業は意外と早く交換終了し、Tさんのお気に入りのCD、LPを聴いてきました。結果は・・・高域が一段と細やかになって、低域も力強くなった。ピンポーン!です。室内楽のコントラバス、兎に角この音の響きが凄い!と感じました。

「こんなことで、こんな音に変わるのですかねー!!!」、と云うことで、Tさんご満悦でした。


今回のSBDへの変更は山根さんのご協力で2箇所のシステム、そして私のシステム、計3箇所のシステムで実施しました。いずれのシステムからも好結果を得ています。どうやらオーディオアンプでの整流ダイオードのSBD化は「音質改善に大きな効果あり」と言える判定です。ただ、この実験はいずれも些細な変化に敏感に反応するマルチ・アンプシステムの中での評価です。

このページをお読みになって追試をされる方は、お使いのシステムによっては『話し半分、そのまた7掛』位の変化かもしれません。しかし、いずれにしてもSBDの音質改善効果は大きいものと思われます。

山根さん、実験・検証ご協力ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。  (09.11月・大西)

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