To Home    SONY TA-D88  TA-D88・TA-D900のフィルターユニット周波数変更について
★38センチダブルウーハーを2分割・3Wayマルチアンプシステム★

 
■ダブルウーハーを2分割・3 Way マルチに改造
このスピーカシステムを構築してすでに17年の年月が経過している。その間一貫してダブルウーハーとTD-4001による2 Wayマルチアンプ駆動である。一時期ツィーターを加えた3 Wayマルチにしたこともあるがすぐにツィーターは撤去、基本的にはカットオフ500Hz(または600Hz)の2 Wayマルチアンプ・システムである。

リスニングソースはほとんどジャズを聴いている。エネルギッシュなジャズを聴くためにこのマルチは長年調整されてきたのである。ダブルにつながれたウーハーJBL2225J からは正に雄大な低域再生が得られている。ところが最近このダブルウーハーの低域再生に少々不満と疑問を抱くようになってしまったのである。

結論を申し上げると『2本の38センチウーハーをカットオフ周波数225Hzで分割、ドライバーとのカットオフは800Hzの3 Wayマルチ』に改造することにしたのである。

改造に至ったトリガーは2つあった。一つは2008年真空管オーディオフェアーでのタムラ製作所ブースで鳴らす『JBL4345のマルチシステムの監修』を依頼されたことである。2007年のオーディオフェアーでもJBL4345を鳴らした。この時は300B PPアンプ、JBL4345は内部ネットワークを使用してのデモであった。300B PPアンプで鳴らすJBL4345は、ふくよかで雄大なスケール、スタジオモニターのイメージからは想像できない爽やかな音を奏でていた。しかし、今年は一転してマルチアンプ駆動のJBL4345である。

他の一つは、当家のシステムをお聴きになった方がマルチに感銘を受け、新たにマルチシステムの新設をすることになり、そのお手伝いをさせてもらったことである。この方がマルチシステムを新設する動機は『交響曲を等身大スケールで聴いてみたい』というわけであった。

 
 



■ダブルウーハー・2 Wayマルチでオーケストラを聴く
もっぱらジャズを聴きながら調整された2 Wayマルチで、改めてオーケストラを聴いてみた。取り出したCDは、あまり数が多くないクラシックCDの中から『ベートーベンの第5・運命』と『小沢征爾指揮・ウィーンフィルの新世界』の2枚である。この2枚のCDに特段の理由はないが、録音状態も良く「チェック用・音決め用」には問題はない音源と思われる。それ以前に良く知る曲であるので、聞いていて退屈しないと言うのが本当の理由かもしれない。チャンデバはSONYのTA-D88を使用、fc=500Hz 傾斜は-24dB/octでの試聴である。

スケール感と音量は申し分なし、運命の冒頭『ジャジャジャ・ジャ〜〜ン』が部屋やいっぱいに広がり、地を這う低域が押し迫ってくる。さすがダブルの38センチと2インチドライバーである。しかし、しかし、良く聴いてみると低域、というよりもクロス付近の中低域から数百Hz付近が出すぎ、膨らみすぎの感も否めない。『ティンパニーとコントラバスが混沌として不明瞭、いわゆる“団子状態”』にも聴こえてくる。

この団子状態はジャズのベースとキックドラムの再生でも時折聴かれるが、ジャズの場合にはベースの音域が頻繁に動くので顕著な団子状態にはならない。むしろ少しくらい膨らんだ低域はジャズの雰囲気を良く伝えてくれる。

クラシックでもジャズでもという『万能型を求めているわけではない』が、しかし少し低域をスッキリさせつつ、ローエンドを充実させたいとの思惑が働くのであった。

ここでカットオフ周波数はそのまま(500Hz)、ドライバーとのバランスは無視してウーハーのレベルを下げ、ティンパニーとコントラバスの音のみに集中して聴いてみると明らかに明瞭さが増してくる。特にティンパニーは乾いたそして響きの良い音に聴こえてくるのである。しかし当然ではあるが、この場合は500Hz以下の中低域のレベルが低下し、同時に低域も低下してしまい、いわゆる低域不足である。これではスケール感も得られず、38センチウーハーにもかかわらず、なんとも情けない音がする『重い・デカイ(!)だけ』の大型スピーカーシステムである。
  

 
■JBL4345を2 Wayマルチで聴く
次に聴いたのはマルチアンプ駆動によるJBL4345である。写真のJBL4345は、今年エッジ交換を実施したタムラ製作所の試聴室に設置されている4345である。ご承知のとおり43XXシリーズは、ウーハーを内部ネットワークから切り離すSWがあり、2 Wayマルチ駆動(バイアンプ駆動)が可能である。この場合ミッドバス以上は内部のネットワークを使用する。JBL4345のスピーカー構成と各スピーカーのクロスは下記のとおりである。


『JBL4345のスピーカー構成』
ウーハー:2245H(46センチ)
ミッドバス:2122H(25センチ)
スコーカー:2420(1インチ・ドライバー)+2307(ホーン)+2308(音響レンズ)
ツィーター:2405
内部ネットワーク:320Hz、1.3kHz、10kHz・・・4 Way 4 Speaker System
マルチ駆動の場合の推奨クロス周波数:290Hz 18dB/oct


駆動アンプは低域用に6550A PP、プレート電圧600V、固定バイアス方式、ビーム管接続による、最大出力100W、出力トランスには大容量「F-2012」を搭載したモノーラル・パワーアンプである。

ミッドバス以上は、近年では製作例が少なくなった固定バイアス方式による、300Bシングル・モノーラル・パワーアンプである。定格出力は固定バイアスの恩恵で12W程が得られる。出力トランスはオリジナルには「F-2007」が搭載されていたが、アモルファスコア「F-5002」に変更した300Bシングルアンプである。チャンデバはSONY TA-4300F、カットオフは250Hz 18dB/octの設定である。

LCネットワークの呪縛から開放された46センチウーハー2245は、6550A PP 100Wアンプを伴侶として正に本領発揮、エネルギッシュに鳴り出した。2245から聴かれる天井知らずのダイナミックレンジには、普段大型システムに慣れ親しんでいるものにとっても“脱帽”である。この試聴は50人位が入れる広い会議室である。無論家庭内のリスニングルームとは音量が異なる。しかし、それにしてもダンピングの効いた2245の鳴りっぷりは、ジャズファンを完全に魅了する音が聴けたのであった。これぞJBLスタジオモニターの音である。

JBL4345


6550A PP 100W MONO


300B SINGLE MONO
アモルファスOPT搭載機
 

■ダブルウーハーを2分割・3 Way マルチに着手
ここで長年親しんできた我が2 Wayマルチのダブルウーハーを2分割した、3 Wayマルチの改造を試みた。重たいエンクロージャーを動かして、裏蓋を開けたのは何年ぶりになるのであろうか。先ず写真のとおり大型スピーカー端子を増設した。上側の端子は従来からのものであるが、ほぼ平行に増設端子を取り付けておくことで、後に元のダブルウーハーに戻す時を考慮している。

ブロックダイアグラムは下図のとおりである。駆動アンプとチャンデバの設定は、暫定ではあるが下記のとおり設定した。


ウーハーJBL2225J :「HK-13」・KT88パラレルPPモノーラル
              最大出力約90W
ミッドバスJBL2225J :「HK-10」・KT88 PPモノーラル 最大出力約45W
スコーカーTD-4001:「HK-16」・300B PP 最大出力約35W パーマロイコア出力トランス・タムラ「F-7020」搭載

チャンデバ:SONY 「TA-D88」 Filter Unit-1、2
クロスオーバー周波数:225Hz、800Hz −24dB/oct 3 Way


38センチをミッドバスで鳴らすのに少々躊躇したが、上が2インチドライバーでもあり、クロスオーバー周波数は500Hzまたは800Hz位に設定できるので、さほど問題はないであろう。

追加ターミナル(手前)
 
 

床の上にはパワーアンプ6台が散乱状態。近々ラックに収納予定。
 
早速この設定で聴いてみた。レベルの設定はいつも使用しているジャズCDである。先ずはウーハーを絞っておいて、ミッドバス以上でレベルの調整を行う。38センチのミッドバスでも800Hz位までならばTD-4001とは違和感なくつながるようだ。ここでウーハーのレベルを上げ、再度各スピーカーのレベルを微調整してとりあえずのバランス調整は終了。ここで試聴を始めた。

●ジャズのベースランニングが良く弾みリズミックである。
●ベースの最低音でもドロドロした感がなく、スッキリしたベースが聴こえる。量感も十分である。
●いわゆる重低音といわれる領域の低音が聴かれるようになった。ローエンドが明らかに充実した。
●細かいフットワークでたたき出すキックドラムも、明瞭にかつ時に風圧を伴って聴こえてくる。
●ウーハーのカットオフが225Hzと低いので、中低域の音色を損なうことなくウーハーのレベル調整は容易。
●TD-4001のカットオフを500Hzから800Hzに上げたので、よりひずみ感のないクリアーな音は、高域方向にF特が広がったように感じる。
●音量を下げても豊かな低域は、音量が大きい時とあまり変わらない。音量を絞れば“迫力”は当然落ちる。

●クラシックのティンパニーのハギレが良くなった。コントラバスも控えめに柔らかく聞こえてくる。
●弦の音が柔らかいとか硬いとかは、この改造には大きな変更はなし。しかしTD-4001のカットオフを500Hzから800Hzに変えたことによる印象は異なる。・・・ジャズがメインのシステムであるので、ジャズがきちんと再生できればそれで良いのである。   (この後クロスオーバー周波数は600Hzに変更した)



■ダブルウーハーを2分割した3 Wayマルチシステムのブロック図■
3チャンネル・3 Wayマルチアンプ・システムの構成
■ウーハー:JBL 2225J アンプ:HK-13(KT88パラレルPP)
■ミッドバス:JBL 2225J アンプ:HK-10(KT88 PP)
■ミッドハイ:TAD TD-4001 アンプ:HK-16(300B PP・パーマロイコアOPT)

■TA-D88の設定:fc1=225Hz fc2=800Hz ベッセル型−24dB/oct
注)図のJBL2225H はJBL2225J に訂正

末尾 H:8Ω J:16Ω
 
ウーハーを2分割した3 Wayマルチ化は今のところ好結果を得ている。カットオフ周波数を多彩に選択できるチャンデバ、「TA-D88」がこのシステムに導入されたのが今回の改造実験に大きく貢献した。TA-D88の急峻なスロープ特性−24dB/octの威力も改めて実感できた。

2インチドラーバーと組み合わされるウーハーは、ダブルウーハーであれシングルウーハーであれ、通常選ばれるカットオオフ周波数が500Hz〜800Hzではローエンドまでの再生は難しいのである。ローエンド不足を解消するためにウーハーのレベルを上げてしまうと、ミッドローのレベルも上がってしまうのである。ミッドローを下げて、ドライバーとの違和感がなくなるレベルに設定すると、今度はローエンドが不足すると言うわけである。このことは当初よりわかっていたのであるが、TA-D88導入以前はカットオフ周波数が固定された自作チャンデバを使用していたこともあってなかなか重い腰が上がらなかった。

一方、このローエンド不足の解消には70Hz近辺からなだらかに上昇する低域ブーストコントローラーを備えたプリアンプ、例えば「HK-2000SP」が有効である。本改造を行う前はソースによりHK-2000SPの低域ブーストを+2dBポジションに設定した方が良い場合もあった。SONYのTA-D88の後継機であるTA-D900にはローブーストコントローラーが装備されていることからもこのあたりの配慮がうかがえる。

ウーハー用アンプはローエンドのエネルギーが増大するため、家庭内のリスニング音量でも少なくとも50W以上、できれば100Wクラスのパワーアンプが必要であろう。このシステムにはKT88パラレルPP・90Wアンプ「HK-13」を使用した。ミッドロー以上のアンプには、パワーよりも音質重視で選ばれたアンプを使用することで、システム全体のクォリティーが向上する。



■進化するマルチシステム・今後の計画
マルチシステムにはLCネットワークを使用したスピーカーシステムとは別次元の音が出てくるのである。マルチを一度体験すると、もはやLCネットワークには戻れない魔力とも思われる魅力がある。スピーカーの選定に始まり、ドライブするアンプの選定、カットオフ周波数にスロープ特性、etc,etc・・・、音質がダイナミックに変化するパラメータが数多く存在する。しかしそれ故に終着が見えないのもまた事実である。今回はダブルウーハーの分割で好結果を得た。このシステムをベースに頭の中にある今後の計画をご紹介してみたいと思う。

1)スーパーツィーターの追加
ウーハーの分割でローエンドの帯域が広がった。これに伴いハイエンドを広げてみたらどうなろうか?。現行のTD-4001は、スペックの上ではツィターを入れなくとも可聴範囲の高域は十分カバーするF特を持っている。負荷になるホーンが小型であるのと、カットオフは800Hzに選んでいるのでなおのことツィーターの必要性はないのかも知れない。しかしローエンドが広がったことで、ハイエンドのエネルギー感を増大させた、より広帯域なシステムで聴いてみたい欲望にかられている。JBL2405等、あるいはスーパーツィーターを追加した4チャンネル・4 Wayに発展か?。

2)JBL『Project EVEREST DD66000』にみる、ウーハーのオーバーラップ方式
JBLエベレストDD66000には、38センチウーハー(1501AL)が2本搭載されたダブルウーハーで構成されている。基本的には700Hzでクロスする、1本の38センチウーハー・1501ALと、2インチ・コンプレッションドライバー・476Be(Beはベリリウム)で構成されるシンプルな2 Wayシステムである。

この2 Wayシステムをベースに、低域側には150Hz以下を受け持つ1501ALを追加し、基本のウーハー1501ALとは150Hz以下でオーバーラップさせ、聴感上2 Wayでは不足するローエンドの帯域を確保している。一方高域側はスーパーツィーター・045Beを追加、20kHzでクロスさせハイエンドの充実を図っている。要は基本になるスピーカーは2 Way、しかし2 Wayではまかないきれないローエンド、ハイエンドに、いわば調味料として各スピーカーが追加されている。

JBL DD66000の“音作り”のコンセプトには多いに共感するものである。ハイエンドのスパーツィーターの追加はともかく、ウーハーのオーバーラップ方式は是非トライしてみたい方式である。しかし、これをマルチアンプでやろうとすると、チャンデバがもう一台必要になる。無論アンプも必要。基本のウーハーとの位相関係はどうなるのであろうか・・・・?。ややこしい問題を抱えることになる。ややこしい問題は不問にして、パワーアンプの入力にCR一段(−6dB)か二段(−12dB)のローパスを入れるだけでも良いのかも知れない・・・・?。

→「JBLエベレスト方式をマルチシステムで聴いてみる」・実験しました。


マルチアンプシステムにはまだまだ多くの可能性が秘められている。しかし、JBL DD66000のシステム構成に見られるように『基本になるシステムの充実』が大事なことだと思う。その上でのダブルウーハーであり、スーパーツィーターでもあると思う次第である。この先どう進化して行くのかが楽しみである。機会があれば進化の過程をこのページでご紹介できればと考えている。
 


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