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★JBL・エベレスト・DD66000方式をマルチシステムで聴いてみる★     updated:2012.01.04

   
ソニーのチャンデバ「TA-D88」を入手したのがトリガになり、自作のチャンデバを使用したダブルウーハーの2 wayマルチシステムから、2本のウーハ-を「バス」と「ミッドバス」に2分割した3 wayマルチに変更した実験記はこのページに記載されている。
 
2本のウーハ-を分割したのは、38センチのダブルウーハーとは言え、2 wayマルチシステムでは中高域とのつながりがスムースになるレベル設定では、どうしても(超)低域が不足がちになるからである。
 
この低域不足を補う方策として、ソニーのチャンデバ「TA-D900」(TA-D88の後継機)には、約70Hzを1.5dBステップで最大6dBを補正する『BASS BOOST』が備えられている。さらには弊社のライン・コントロールアンプ『HK-2000』には、2dBステップで最大+8dB補正する「LOW BOOST」コントローラーが装備されているのである。いずれもマルチアンプシステムを極めた結果の装備であるが、安易とは言えウーハーを2分割することもなく容易に低域不足(感)を補なう一つの解決策でもある。
 
しかし強制的に低域をブーストするのは、あくまで“簡易的低域補正”であって、ウーハーは出来るだけ低い周波数以下で使うのが良いわけである。ここで登場するのが、ミッドバスを入れたJBLの43XXモニターシリーズに見られるマルチウェー方式であるが、広く一般的に普及しているこのマルチウェーSP方式は、スピーカの数とカットオフ周波数が増える分、各スピーカーのレベル合わせに苦慮するのである。もちろん各帯域のカットオフ周波数も十分吟味しなければならないのであるが、カットオフ周波数の変更はLCネットワーク方式では簡単ではない。
 
長い間マルチシステムに親しんでいる中で常に思うのは、結局スピーカーは少ない方が良いというのが結論で、我がシステムは2 wayマルチシステムを基本として構築されていたのである。
 
しかしながら何度も言うようで恐縮だが、2 wayマルチはバランスが良い反面、若干ではあるが低域の不足感が伴うのである。これを解決するべく上記のようなトライをしてみるわけだが、以前より一つ気になるスピーカーシステムがある。それが2個の38センチウーハーを150Hz帯域から下でオーバーラップさせるJBL『Project EVEREST DD66000』方式であることはこの項でも述べた。再度エベレスト方式のポイントを下記に列記してみた。
 
JBL『Project EVEREST DD66000』・ウーハーのオーバーラップ方式
JBLエベレストDD66000は、38センチウーハー(1501AL)が2本搭載されたダブルウーハーで構成されている。基本的には700Hzでクロスする1本の38センチウーハー・1501ALと、2インチ・コンプレッションドライバー・476Beで構成されるシンプルな2 Wayシステムである。
 
この2 wayシステムをベースに、低域側には150Hz以下を受け持つ1501ALを追加し、基本のウーハー1501ALとは150Hz以下でオーバーラップさせ、聴感上2 wayでは不足するローエンドを補っている。
 
一方高域側はスーパーツィーター・045Beを追加、20kHzでクロスさせハイエンドの充実を図っている。要は基本になるスピーカーは2 way、しかし2 wayではまかないきれないローエンド、ハイエンドに、いわば調味料として各スピーカーが追加されている。

JBL 4345 4wayシステム
 
 
 

  

ウーハーがオーバーラップ方式に変更されたJBL 2225J




JBL EVEREST DD66000
 
JBL DD66000の“音作り”のコンセプトには多いに共感するものである。ハイエンドのスパーツィーターの追加はともかく、ウーハーのオーバーラップ方式は是非トライしてみたい方式であることは前々から思っていた。しかしこの方式をマルチシステムでトライするには、位相関係が等しい(同一モデルが良い)チャンデバを2台用意しなければならない。これがネックで中々手を付けられなかったのであるが、幸運にも最近2台目のTA-D88が入手でき早速実験をしてみた。以下はその実験記である。

  図に示したのはJBL DD66000内ネットワークの周波数特性である。LF1ウーハーはfo〜70Hz付近までLF2・ウーハーとオーバーラップ。70Hz以降はなだらかに減衰するローパスフィルターを通過しLF2ウーハーとオーバーラップ。

LF2:Fo〜Fc1(700Hz)・・・低域・ウーハー
HF:700Hz〜Fc2(20kHz)・・・中高域
UHF:20kHz〜・・・高域・スーパーツィーター
LF1:Fo〜150Hz・・・(超)低域・ウーハーとオーバーラップ
上図黒線がオーバーオールの周波数特性である。70Hz以下で2本のウーハーが重なっているのがわかる。この結果空間波形合成で出力レベル(dB SPL)が約6dB上昇している。

  
■DD66000 エベレスト方式・マルチシステムのブロックダイアグラム
  

■2台のチャンネルデバイダー「TA-D88」




■2台のチャンデバとパワーアンプ「TA-N330ES」
  
 
 
マルチシステムでJBL DD66000のウーハーオーバーラップ方式を実験するには、上図ブロックダイアグラムのとおり、既存の2 wayマルチアンプ方式に新たにチャンデバを1台追加した、「2台のチャンネルデバイダー」を準備する必要がある。今回の実験用の機材は下記のとおり。
 
■チャンネルデバイダー:SONY TA-D88 2台
ウーハーのオーバーラップ方式はウーハーの位相を完全に一致させる必要がある。2つのウーハー間で、仮に180度位相が異なると低域周波数でキャンセルが生じてしまう。この場合は“増強”ではなく“減衰”である。
 
同一モデルを使用すればこの位相差の懸念は皆無であるが、必ずしも同一モデルである必要もない。
 
上記ブロックダイアのとおり、fc=560Hzの2 wayマルチを基本とし、fc=225Hzのローパスを通した『ウーハー・2』をオーバーラップさせる。
 
■パワーアンプ:SONY TA-N330ES・2台
パワーアンプもチャンデバ同様、同一モデルで実験することにした。今回の実験は真空管アンプではなくリスニングルームでは唯一の半導体パワーアンプ「TA-N330ES」が2台あったのでこれを使用した。いずれ真空管パワーアンプに置き換える予定。
 
■中高域は従来どおり、2インチドライバーTD-4001、アンプは2A3PPアンプ「HK-19」を使用した。

   
■試 聴
新たに入手したチャンデバ「TA-D88・#2」をメンテした後、早速システムをJBL DD66000方式に変更した。ウーハー用のパワーアンプは2本のウーハーを完全に同相駆動するため、2台の半導体アンプ「TA-N330ES」で2本のウーハーを駆動した。
 
カットオフ周波数の設定はTA-D88・#1が560Hz、ユニット-S2を入れた。#2のTA-D88にはユニット-1を入れ、カットオフを225Hzに設定しウーハー1とオーバーラップさせる。このカットオフ周波数の設定は、後日パワーアンプを真空管アンプに変えたと時には再度最適値に設定しなおす予定である。
 
先ずは基本になるシングルウーハーの2 wayマルチで調整する。長年親しんだ2 wayの調整は手馴れたもので短時間で設定できる。ここで改めて2 wayマルチの基本システムを聴いてみる。大型システム特有の気負いがなく、極自然な音色で何か“ホッと”する安堵感がある。
 
しかし、2本のウーハーを分割した3 wayに比べるとベースの“ゴリゴリ”感がなく、あくまでも「スッキリした品の良い低域」である。クラッシク、特にオーケストラなどはこの方が良いかもしれないが、ジャズには少々“エネルギー感・熱気”に欠ける『品の良いジャズ』である。
 
「JBL DD66000方式で聴いてみる」
● 3 wayシステムに変更した時の音評は下記のとおり記載されている。基本的には大きく変わらないが、3 wayに比べて低域がよりふくよかになったにもかかわらず、少しすっきり聴こえる。
 
● しかし、カットオフ225Hzを境にその下はダブルウーハーとなり放射面積が広がる。その結果ボリューム感も広がり、どこまでも延びる低域は広いダイナミックレンジを感じさせる。
 
● 3 wayマルチでは低域のレベルを上げると、ミッドバスとの境界が階段状に出力レベルが上がってくる感じだが、オーバーラップ方式では自然に増強する感じが良い。
 
● 2台のウーハー用パワーアンプのVR位置を同じ位置(2台のアンプのゲインが同じVR位置)に設定して、チャンデバのレベル設定でオーバーラップ側のウーハーのレベルを合わせて行くと、2台のチャンデバの低域レベル設定は偶然にも同じVR位置になった。
 
● このことから『2本のウーハーを駆動するアンプゲインは、同ゲインの設定が最適ゲイン』であることがわかる。
 
今回はパワーアンプに半導体アンプを使用してJBL DD66000方式の可能性を見極めた。結論はウーハーを分割した3 way方式よりも、オーバーラップ方式の方がより自然に気持ちよく延びる低域感は好ましい。近々真空管アンプに戻して聴いてみたい。

 
「2本のウーハーを分割した3 wayシステムに変更した時の評価」
●ジャズのベースランニングが良く弾みリズミックである。
●ベースの最低音でもドロドロした感がなく、スッキリしたベースが聴こえる。量感も十分である。
●いわゆる重低音といわれる領域の低音が聴かれるようになった。ローエンドが明らかに充実した。
●細かいフットワークでたたき出すキックドラムも、明瞭にかつ時に風圧を伴って聴こえてくる。
●ウーハーのカットオフが225Hzと低いので、中低域の音色を損なうことなくウーハーのレベル調整は容易。
●TD-4001のカットオフを500Hzから800Hzに上げたので、よりひずみ感のないクリアーな音は、高域方向にF特が広がったように感じる。
●音量を下げても豊かな低域は、音量が大きい時とあまり変わらない。音量を絞れば“迫力”は当然落ちる。
 
●クラシックのティンパニーのハギレが良くなった。コントラバスも控えめに柔らかく聞こえてくる。
●弦の音が柔らかいとか硬いとかは、この改造には大きな変更はなし。しかしTD-4001のカットオフを500Hzから800Hzに変えたことによる印象は異なる。
 
 
 
 
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