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■「HK-33」テクニカル・インフォメーション■
☆☆タムラ新型トランス搭載機・第四弾・300Bシングル・ロフチンホワイトが型・ステレオパワーアンプ☆☆
☆☆EH Gold Grid 300Bとロフチン型で美しい高域、大人の品格を聴かせるロフチン型☆☆
☆☆色付けのない素直な特性を持つタムラトランスの能力を生かした無帰還・6dBのNFB選択 300Bシングルアンプ☆☆


■本機は2018年WINTER「管球王国Vol. 87」発表機です
■このページの技術情報は試作機の実測データが記載されています。素子のバラツキ等で個々の製品の特性は若干異なります。
■サンプル機試作後の検討で,一部設計が変更されているモデルもございます。
■詳細はメールにてご案内いたします。お気軽にお問い合わせ下さい。
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<写真のクリックで拡大します>
フロントビュー。左右独立ボリュームを装備。
真空管は整流管にエレクトロハーモニックス製5U4GB、Gold Grid 300Bを採用、SW切り替えでダイオード整流にも対応する。シャーシ天板部はシャンペンゴールドが標準仕様、シルバーヘアライン(特注)にも対応する。
リアビュー。HK-33は電源、チョーク、出力トランスには、2017年にタムラ製作所より発売された900シリーズのリニューアル版を採用している。
スピーカ出力は標準が8Ω/16Ω、4Ω/8Ω仕様にも対応する。
HK-33の内部コンストラクション。ISO時代に完成されたSRPPドライバーを採用、ドライバー菅にはECC99を採用、過去モデルで得た高音質回路を踏襲しながら、さらにブラシアップされている。各トランスがリード線タイプで設計されているため内部にスペースが生まれ、整然としている。
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■HK-33・回路図・実体配線図・特性.pdf
(下記特性はダイオード整流時の特性)

モデル概要 ■タムラ新型トランス搭載第四弾・300Bシングル・ロフチンホワイト型・ステレオ・パワーアンプ
■ドライバー段と300Bは直結(ロフチン・ホワイト型)回路
■整流管整流/ダイオード(SiC SBD)整流切り替えSW装備
■自己バイアス方式
■300BフィラメントSBDによるDC点火・ハムバランサー搭載
■ECC99/12BH7によるSRPPドライバー回路採用
■NFB ON-OFF SW装備・・・・NF 6dB又は無帰還
■音量調整ボリューム
使用真空管 300Bx2本(ペアー) ECC82/12AU7x2本 ECC99x2本
整流管5U4G/GBx1本
 SiC SBD(整流ダイオード)x2本
定格出力 7.1W 8Ω負荷 周波数1kHz ひずみ率5%時の出力
最大出力 8.5W 8Ω負荷 周波数1kHz ひずみ率10%時の出力
周波数特性 10Hz〜30kHz ±0.5dB以内 出力1W 8Ω負荷時
10Hz〜70kHz ±3dB以内 出力1W 8Ω負荷時
ひずみ率特性 0.5%以下 1kHz/10kHz/100Hz 出力0.5W時
ゲイン 26.7dB・・・NFB OFF(無帰還時)
20.3dB・・・NFB ON時  (いずれも実測値)
NFB NFB 6dB-無帰還 切り替え
入力端子 アンバランスRCA端子・入力インピーダンス100kΩ
出力端子 8Ω,16Ω (又は4Ω、8Ω)
残留雑音 1mVrms以下(VOL Mini時)
搭載トランス・型名
(いずれもタムラ製作所製)
出力トランス:F-913(3.5kΩ)
電源トランス:PC-940
チョーク:A-825(8H 200mA)
AC電源・消費電力 AC100V 50/60Hz・130W(無信号時)
寸法・重量 (W)370x(H)55x(D)250mm・・・シャーシの寸法
トランス,ゴム足含む高さ:約210mm
重量:約15kg
付属資料 回路図・実体配線図・部品表(A4版・印刷)
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『HK-33』の価格 
■本体と真空管セットの価格は消費税・送料を含みます。
(沖縄県・離島の方への送料は別途お知らせします)
■真空管のブランドは代理店の在庫都合等により変更の可能性もあります。
本体パーツ・キット 真空管を除く全パーツセット ¥215,000
真空管セット 300B・EH Gold Gridペアー(2本組)
ECC99・JJ x2 12AU7x2  5U4GBx1
¥39,500
完成品 手配線による組み立て・調整済 ¥314,500
シャーシ・穴加工済み
(シャーシ単品販売です)
天板色:シャンペンゴールド・・標準
天板色:ヘアラインシルバーも可
¥25,000
ご購入ご希望の方はメールまたはTEL/FAX:044-522-0926でお問い合わせください
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『HK-33解説・管球王国Vol.87一部抜粋』

■三代目のロフチン・ホワイト型パワーアンプ『HK-33』はEH Gold Grid 300Bを搭載

出力管とドライバー段が直結されたロフチン・ホワイト型の300B シングルアンプを管球王国誌でご紹介したのは、2009年Vol.52で『HK-17』、そしてタムラトランス900シリーズの開発と合わせて2014年Vol.72で『HK-26」をご紹介しました。
 
2009年以来採用されている直結型回路の不具合もなく、現在まで安定した動作が得られています。2012年にリリースされましたタムラトランス900シリーズは、2017年には一部リニューアルされ、電源トランスはPC-1000シリーズとしてよりパワーアップされたのと同時にケース寸法が高さ方向に20mm増加し、高さ135mmになり、WE300Bのシャーシからの高さ寸法5.3インチ(134.6mm)とほぼ同じになりました。
 
リニューアルトランス搭載機は既に3モデルをご紹介していますが、その第4弾として今回はEH Gold Grid 300Bを搭載した、シングル・ロフチンホワイト型(直結型)パワーアンプ『HK-33』をご紹介します。
 
これまでのリニューアルトランス搭載機で採用しましたシリコンカーバイド・ショットキーバリアダイオード(SiC SBD)の高音質は既に実証済み、本機でも躊躇なくSiC SBDを採用し、整流管での動作も可能とした切り替えスイッチを設けています。
 

■ロフチン・ホワイト回路について

1926年頃にロフチン氏とホワイ氏の両名から、ドライバー段と出力段が直結された回路が提案され、後にこの直結回路を『ロフチン・ホワイトアンプ』と命名されたました。下記にご紹介した回路図はその原型をなす回路図です。
 
 
 
当時の直熱三極管アンプは、段間トランスでドライブするのが主流でした。出力段とドライバー段は一個のカップリング・コンデンサでつなぎ、前段とは直流的に切り離してしまえば事足りるわけですが、当時は高圧に耐える良質のカップリング・コンデンサもない時代でもありました。
 
ドライバートランスと言えば、これも現代のような高品質トランスが存在するわけもありません。
そして、当時の直熱三極管はグリッド電流が流れやすく、バイアスの深い直熱三極管をドライブするのに困難を伴い、カップリング・コンデンサーを排除した前段との直結回路は、出力段のドライブもしやすくなります。
 
ロフチン・ホワイトアンプはこれら直熱三極管の使いにくさを一挙に解決してしまうわけで、当時としてはまさに画期的な回路提案であったものと容易に想像できます。
 
しかし、直結回路はパワーオン後各段が安定動作になるまでの時間差により、出力段のグリッドに高圧バイアスが印加され大きなプレート電流が流れてしまいます。この結果プレートが灼熱状態、いわゆる“七面鳥アンプ”とも言われる暴走現象が生じてしまいます。
 
この現象はドライバー段が抵抗負荷回路の場合は特に顕著になり、電源投入時の暴走現象を回避するには遅延回路など様々な工夫が必要になるわけですが、一個のコンデンサを取るためだけの回路としては、洗練された回路とは思えないスマートさに欠ける回路になってしまうのが一般的です。
 
上図のロフチンホワイトアンプ原型回路ではこの暴走を軽減するため、初段のプレート電圧は+B電源にシリーズに入れられたブリーダー抵抗を介して出力管のカソード(フィラメント)へ落とし、出力管が立ち上がる前にグリッドバイアスの電圧を制御する対策がとられています。しかし立ち上がりのタイミングは微妙な回路定数の設定が要求され、この回路も決してスマートとは言い難い難しさを持ちます。
 
    そこで改めて直結回路の実験をしてみました。直結回路は様々な回路が考えられますが実験でトライした結果では、ドライバー段をSRPP回路にすることで立ち上がりのタイミングに配慮することなく出力段と直結できることが判明しました。
 
結果としては極めてシンプルな回路にたどりついた感がありますが、これら実験結果を踏まえて左図のとおり、SRPPドライブによる300Bシングル・ロフチンホワイトアンプが完成したのです。

■HK-33の回路について

HK-33の全回路図はHK-33・回路図・実体配線図・特性.pdfに掲載しました。
 
電圧増幅部初段はパラレルに接続された12AU7抵抗負荷増幅回路、ドライバー段はECC99(JJ)によるSRPP回路を採用しています。SRPPドライバーからは、大きなドライブ電圧を確保でき出力インピーダンスも低く、バイアスの深い300Bを充分にドライブできる優れた回路です。
 
ECC99(JJ)は12BH7A互換球ともいわれていますが、細部の特性は12BH7Aとは異なる球のようです。従って本機の直結回路では両球の併記は好ましくなく、ECC99のみとしました。過去2モデルで確立したSRPP回路によるドライバー段と300Bを直結するロフチン・ホワイト型直結回路を本機でも採用していますが、この回路が生まれた背景は既に述べられているとおり様々な実験の結果から生まれた回路方式です。
 
ドライバー段をSRPP回路にすることで、立ち上がりのタイミングに配慮することなく出力段と容易に直結できることが判明したのでした。本機でもこの回路を踏襲したのは言うまでもありません。貴重な300Bを大事に使う上でも実績を積み重ねた回路方式の採用は好ましいことです。
 
電源回路にはSiC SBD整流と整流管整流を選択できるスイッチを設けています。スイッチレバーセンター位置は「スタンバイポジション」で+Bが切り離され、フィラメント(ヒーター)のみの点火になります。
  左図に電源投入直後から300Bのプレート電流が安定するまでの電流変化を示しています。
 
電源投入から約15秒後にプレート電流が最大値に達し、その値はダイオード整流時73mA、その後定常電流の65mAで安定します。
 
電源スイッチのいきなり投入(コールドスタート)でも、出力管300Bにダメージが加わることはありません。
NFBは無帰還を基本としていますが、切り替えスイッチを設けてNFB ON/OFFが選択できます。NFBは6dBを標準としますが、回路図にはNF量9dBと3dB時の抵抗値も記載しておきましたので、お好みに応じて定数を変更してNFB量の設定をしてください。
 
整流ダイオードはSiC SBDを採用しました。SiC SBDの特徴はシリコンでは実現できなかった極小(ほぼゼロ)の逆回復時間(trr)により、スイッチングノイズが発生しない高速スイッチングが可能になったこと、そして何と言っても真空管愛好家にとって嬉しいのは、SBD構造で1000V以上の定格電圧(尖頭逆方向電圧)が確保できるということです。
 
半導体機器でのシリコン(Si)SBD整流による音質向上は目を見張るものがあります。しかしながら真空管アンプの整流回路には対応できませんでしたが、近年ロームの逆耐(Vr)1200V品と600V品が市場で入手が可能になり、昨年来テストを重ねた結果、手元の真空管アンプは明らかにシリコンダイオードとは一線を画する高音質が得られます。
 
特に中高域の晴れ晴れした、青空に突き抜けるような高域は正にSBDの音です。整流ダイオードの耐圧は、両波整流、倍電圧整流では2次側AC電圧の2.83倍(3倍)、ブリッジ整流では1.42倍(1.5倍)になります。本機の2次側AC電圧は370Vですのでダイオードの耐圧は(Vr)1050V以上となり、ロームのSiC SBD (Vr)1200V品が採用されています。
 

■『HK-33』の特性

本機の基本特性はHK-33・回路図・実体配線図・特性.pdfの3ページ目に掲載されています。
 

特に直結型ではドライバー段の設計が容易ではありません。入出力特性を示しましたが、ドライバー段にECC99 SRPPを採用した本機の定格出力は約7.1W、最大出力で約8.5Wが得られ、ドライブ段のリニアリティーが要求される直結型でありながらも十分な振幅で300Bをドライブしています。
 
そしてその結果300Bとの間で予期せぬひずみのキャンセルなどが発生せず、大変素直なひずみ率特性が得られます。
 
下図にはチャンネルセパレーション特性が示されています。300Bのフィラメント整流にSBDを採用した効果で残留ノイズはNFB OFF時でも0.5mV以下、NFB ONでは0.2mV前後となり十分ローノイズアンプです。ダンピングファクターはNFB OFF時3.2、ON時6.8(いずれも置換法にて測定)です。
 
本機の無信号時の消費電力は実測140W/50Hz、突起物を含まないシャーシの寸法は370(W)x255(D)、ゴム足を含む全高は約210mm、全重量17.5kgです。
 

 

■音質

300Bシングル用のリニューアルトランス「F-913A」を搭載した300Bシングルアンプのオリジナル設計は、本誌Vol.64でご紹介しました『HK-30』ですが、カップリングコンデンサーを一発取り去っただけでその音が“ガラッと変わった”、などと言うことはそもそもありえません。
 
しかし、何か落ち着いた佇まいを醸し出す本機の音はいわば“大人の音”と感じます。そしてハイエンドまで良く伸びた高域は刺激もなく落ち着いた心地よい響きです。
 
自作のUSB DACからのPCオーディオからは、リアルなピアノ、粒立ちの良さ、艶やかな女性ボーカル、弾力性豊かなベース、コンデンサーカップリングの300Bシングルアンプに比べ、薄いベールではありますが一皮剥けた印象です。
 
300Bアンプはどちらかと言えば透き通る高域の美しさに目を奪われがちですが、本機のピラミッドに定位するバランスの良い再生音は奥行き感も伴い、またひとつ300Bの魅力を引き出せたアンプに仕上がった感があります。
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