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■「HK-30」テクニカル・インフォメーション■
☆☆タムラトランス「リニューアル900シリーズ」搭載機・第一弾・300Bシングル・ステレオパワーアンプ☆☆
☆☆色付けのない素直な特性を持つタムラトランスの能力を生かした無帰還/NFB 300Bシングルアンプ☆☆


■本機は2017年SPRING「管球王国Vol. 84」発表機です
■このページの技術情報は試作機の実測データが記載されています。素子のバラツキ等で個々の製品の特性は若干異なります。
■サンプル機試作後の検討で,一部設計が変更されているモデルもございます。
■詳細はメールにてご案内いたします。お気軽にお問い合わせ下さい。
      
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<写真のクリックで拡大します>
フロントビュー。左右独立ボリュームを装備。5U4GBによる真空管整流とSiC SBDによるダイオード整流が選択可。NFB ON/OFF SWも装備する。シャーシ天板部はシャンペンゴールドが標準仕様、シルバーヘアライン仕様にも対応する。 リアビュー。HK-30は電源、チョーク、出力トランスには2017年に900シリーズをリニューアルされた新型トランスを採用している。
スピーカ出力端子は4Ω/8Ω/16Ωを備える。
HK-30の内部コンストラクション。ISO時代に完成されたSRPPドライバーを本機にも採用、過去モデルで得た高音質回路を踏襲する。
各トランスがリード線タイプで設計されているため内部にスペースが生まれ、整然としている。
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■HK-30・回路図・実体配線図・特性.pdf
(下記特性はダイオード整流時の特性)
モデル概要 ■タムラ「リニューアル900シリーズ」トランス搭載・第一弾・300Bシングル・ステレオ・パワーアンプ
■整流管整流/ダイオード(SiC SBD)整流切り替えSW装備
■自己バイアス方式
■300BフィラメントSBDによるDC点火・ハムバランサー搭載
■ECC99/12BH7によるSRPPドライバー回路採用
■NFB ON-OFF SW装備・・・・NF 6dB又は無帰還
■音量調整ボリューム
使用真空管 300Bx2本(ペアー) ECC82/12AU7x2本 ECC99/12BH7x2本
整流管5U4G/GBx1本
 SiC SBD(整流ダイオード)x2本
定格出力 8.4W 8Ω負荷 周波数1kHz ひずみ率5%時の出力
最大出力 9.3W 8Ω負荷 周波数1kHz ひずみ率10%時の出力
周波数特性
15Hz1000kHz ±0.5dB以内 出力1W 8Ω負荷 NFB ON
10Hz〜100kHz ±3dB以内 出力1W 8Ω負荷 NFB OFF(無帰還)
ひずみ率特性 0.5%以下 1kHz/10kHz/100Hz 出力0.5W NFB ON
ゲイン 20.dB・NFB ON  26dB・NFB OFF 周波数1kHz
NFB NFB 6dB-無帰還 切り替え
入力端子 アンバランスRCA端子・入力インピーダンス100kΩ
出力端子 4Ω、8Ω,16Ω
残留雑音 1mVrms以下・・整流管整流
0.5mV以下・・ダイオード整流 
(VOL Mini時) 
搭載トランス・型名
(いずれもタムラ製作所製)
出力トランス:F-913A(3.5kΩ)
電源トランス:PC-1040
チョーク:A-825A(8H 200mA)
AC電源・消費電力 AC100V 50/60Hz・130W(無信号時)
寸法・重量 (W)370x(H)55x(D)250mm・・・シャーシの寸法
トランス,ゴム足含む高さ:約210mm
重量:約16kg
付属資料 回路図・実体配線図・部品表(A4版・印刷)
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『HK-30』の価格 
■本体と真空管セットの価格は消費税・送料を含みます。
(沖縄県・離島の方への送料は別途お知らせします)
■真空管のブランドは代理店の在庫都合等により変更の可能性もあります。
本体パーツ・キット 真空管を除く全パーツセット ¥215,000
真空管セット 300B・EH Gold Gridペアー(2本組)
ECC99・JJ x2 12AU7x2  5U4GBx1
¥39,500
完成品 手配線による組み立て・調整済 ¥314,500
シャーシ・穴加工済み
(シャーシ単品販売です)
天板色:シャンペンゴールド・・標準
天板色:ヘアラインシルバードも可
¥25,000
ご購入ご希望の方はメールまたはTEL/FAX:044-522-0926でお問い合わせください
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『HK-30解説・管球王国Vol.84一部抜粋』  F-913・管球王国誌Vol.79評価記事.pdf

タムラトランス「リニューアル900シリーズ」発売(2017年発売)
タムラ製作所から管球アンプ用オーディオトランス、900シリーズがリリースされたのは2012年10月でした。900シリーズの商品化プロジェクトには私もお手伝いをさせていただいたシリーズですが、発売以来低価格ながらタムラトランスならではの高音質が自作派マニア諸氏より高い評価を得て今日に至っています。
 
この間少々非力な感があった電源トランスにはパワーアップのリクエスト、あるいは海外ユーザーからは海外仕様のリクエストなども多く寄せられ、これらに対応するため電源トランスのパワーアップと、海外向をラインアップした『PC-1000シリーズ』にリニューアルされました。
 
新シリーズのトランスは、電源トランスのコアサイズが大きくなったため新たなケースに収められています。幅、奥行きは900シリーズと変わらずシャーシ取り付けは互換性を保ちながら、高さ方向を20mm増加させて135mmに変更されました。
 
同時に出力トランスには『末尾A』を付けて電源トランスと同一デザインになりました。チョークコイルのケース寸法は従来品(A-825)とサイズは変わらず、ケースのデザインが統一されています。ちなみに高さ135mmはWE300Bのシャーシからの高さ寸法5.3インチ(134.6mm)とほぼ同じになります。
 
早速第一弾、300Bシングルアンプ『HK-30』をご紹介することになりましたが、2012年にご紹介しました300BシングルアンプHK-22をベースに、300Bのドライバー部を強化し、パワーアップされた新シリーズの電源トランスに合わせた回路構成としています。同時に近年高耐圧・高音質で話題の、シリコンカーバイド・ショットキーバリアダイオード(SiC SBD)も整流管整流と切り替えでその音質を楽しめる設計としました。

 →タムラトランス・900シリーズ・仕様.pdf
 

新旧トランス比較 左:リニューアル版「1000シリーズ」 右:900シリーズ
■バイアスの深い300Bの実力を引き出す『HK-30』の回路構成
HK-30の全回路図と特性図は左記に掲載しました。      →HK30・回路図・実体配線図・特性図.pdf  
 
新に開発されたトランスを使用するという背景もあり、過去モデルとの音質比較において遜色ない音質を確保することはもとより、新開発出力トランスの実力を最大限発揮できる、実績ある回路構成としています。
 
本機に搭載されたトランスのラインアップは、電源トランスにはPC-900のリニューアル版「PC-1040」(1000シリーズ)、出力トランスは「F-913A」、チョークコイルは「A-825A」です。今回の仕様変更ではデリケートな巻き線で構成される出力トランスの巻き線設計は既存設計が温存され、ケースのみ変更で末尾Aを付けてリリースされるということで、900シリーズで培った特性と音質は維持されます。
 
そもそも出力トランスの巻き線は鉄芯に銅線が巻き付けてあるだけと言う素朴なものですが、しかし、それだけにノウハウの塊で、うかつに手を付けると音が決まるまでに長時間を要するものなのです。
 
電源トランスPC-1040の主な変更点はAC6.3Vに10Vのタップが追加され、負荷電流が1.2Aから2.5Aにアップされました。それに伴い本機の初段電圧増幅段は左右独立使用の12AU7パラレル、ドライバー段には12BH7/ECC99 SRPP回路の採用で、下記に示す通りバイアスの深い300Bを余裕を持ってドライブできる回路構成としています。12BH7のヒーター電圧/電流は6.3V/0.6A、ECC99(JJ)は6.3V/0.8Aです。
 
左に示した図は、本機のドライバー段のリニアリティーを示しています。
 
出力段300Bをドライブするためのドライバー段の出力電圧は、図に示す通り47Vrmsの出力電圧(振幅)が必要です。
 
この大きなドライブ電圧に対応するため、本機ではECC99をドライバー菅とし採用、加えて最大振幅を確保するためECC99のSRPP回路を採用しています。
 
この結果HK-30のドライバー段の最大出力はノンクリップで約70Vrms(198Vp-p)、最大出力は90Vrms(254Vp-p)を得ています。
 
 
■電源トランスの強化とSiC SBD整流を採用で高性能化を図る
PC-1040ヒーター巻き線の容量アップは、電圧増幅段に使用する真空管の選択が古典管を含めて選択の余地が広がりました。出力管300Bは自己バイアス動作で、本機の出力は定格出力(ひずみ率5%時)で8.5W、最大出力(ひずみ率10%時)で9.4Wが得られます。本機の動作点での300Bのプレート損失は23W、最大定格36Wの60%前後の動作点に設定されています。
 
300Bのフィラメント整流にはSBDブリッジを採用、ハムバランサー調整後のSN向上に寄与します。NFBは無帰還を基本としていますが、切り替えスイッチを設けてNFB ON/OFFが選択できます。NFBは6dBを標準としますが、回路図にはNF量9dBと3dB時の抵抗値も記載しておきましたので、必要に応じて定数を変更してNFB量の設定をしてください。
 
電源部も整流管整流とダイオード整流が選択できます。ダイオードはSiC SBDを採用しました。SiC SBDの特徴はシリコンでは実現できなかった極小(ほぼゼロ)の逆回復時間(trr)により、スイッチングノイズが発生しない高速スイッチングが可能になったこと、そして何と言っても真空管愛好家にとって嬉しいのは、SBD構造で1000V以上の定格電圧(尖頭逆方向電圧)が確保できるということです。
 
半導体機器でのシリコン(Si)SBD整流による音質向上は目を見張るものがあります。しかしながら、容易に入手可能なSi SBDの耐圧は40〜60V、高くとも100V程度であるため、真空管アンプの整流回路には対応できませんでした。そんな中、シリコンカーバイドSBDなるパワー素子の量産化を目にしたのは4〜5年前でしょうか。
 
近年ロームの逆耐(Vr)1200V品と600V品が市場で入手が可能になり、昨年来テストを重ねた結果、手元の真空管アンプは明らかにシリコンダイオードとは一線を画する高音質が得られます。管球王国誌68号に「半導体整流器16種の聴き比べ」で音質評価が掲載されていますが、特に中高域の晴れ晴れした、青空に突き抜けるような高域は正にSBDの音です。
 
気がついいてみますと、リスニングルームの機器はほとんどSi SBDもしくはSiC SBDに換装されています。そんなテストを経て、本機にもSiC SBDの採用に至りました。整流ダイオードの耐圧は、両波整流、倍電圧整流では2次側AC電圧の2.83倍(3倍)、ブリッジ整流では1.42倍(1.5倍)になります。従いまして本機の2次側AC電圧は370Vですのでダイオードの耐圧は(Vr)1050V以上となり、ロームのSiC SBD (Vr)1200V品が採用されています。仮にSBDの音質が逆回復時間(trr)に依存するとしたら、SBDの構造上耐圧が高い方がtrrの数値が大きくなり不利になる方向です。従っオーディオ的には耐圧が高ければ高いほど良いということではないようです。
 
整流管・5U4GB SiC SBD SW NFB ON/Off SW 無帰還と6dBのNFB
 
 
■出力トランス「F-913A」について
  
→タムラトランス・900シリーズ・仕様.pdf  F-913・管球王国誌Vol.79評価記事.pdf
旧製品『HK-22』に搭載されている出力トランス「F-913」は300Bシングル用に開発されたもので、一次インピーダンスは3.5kΩです。
 
出力トランス単体での減衰比は、3.5kΩと8Ωでは計算値で-26.41dBになります。一方、本機での一次側と二次側(8Ω)での実測値は-26.9dBとなり、この結果、F-913の定損失は0.29dBと計算されます。
 
リニューアル版出力トランス「F-913A」は、コアサイズおよび巻き線設計は変更されておらず、ケースのみの変更で、旧製品「F-913」のスペックと音質は引き継がれています。
■真空管アンプ・通風の配慮
本機の電源部は、整流管5U4GBによる真空管整流と、シリコンカーバイト・SBD(SiC SBD)によるダイオード整流が選択できます。整流出力のDC電流(+B電流)はトータル約140mA流れます。この負荷状態で約6時間通電し、電源トランス熱飽和後のケース上部の温度上昇を測定してみますと、上昇分で約23℃です。
 
ケース入りの電源トランスは伏せ型のトランスと比較してコアサイズが小さくなり、どうしてもケースの表面温度は上昇してしまいます。このアンプに限りませんが、特に夏場は風通しの良い場所に設置してお使いください。
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■本機の特性・・・・新型トランスの高い性能が活きた素直な特性  F-913・管球王国誌Vol.79評価記事.pdf               
本機の一般特性はこのページ<→HK30・回路図・実体配線図・特性図.pdf >の下部4ページにご紹介しています。
 
本機は無帰還アンプですが、初めて使用する出力トランスが示す周波数特性には大いに興味があるところです。測定の結果は図に示すとおりとても素直な特性を示しています。
 
100kHz以上の高域周波数は、出力トランスの周波数特性に依存するところが大きいわけですが、トランス単体での周波数特性を数値だけで欲張ると、アンプ実装時の周波数特性に大きなうねりを生じてしまいます。この面からも、300Bシングル用に開発された出力トランス「F-913A」の高域特性は、大きな破綻もなく実に素直なインピーダンス特性を持った、使いやすい出力トランスです。
 
ひずみ率特性は各周波数での特性が良く揃っていて、しかも出力の増加とともに素直に増加して行く特性は、電圧増幅段と出力段との間で大きなキャンセルも見られず、大変好ましいひずみ率特性が得られています。
 
300Bフィラメントのダイオード整流によるDC点火とハムバランサーにより、ハムバランサー調整後、NFB ONでの残留雑音の実測値は0.2mV/Rと充分な低ノイズアンプに仕上がっています。
 
入出力特性が示されていますが、本機は無帰還アンプで、ゲインは26dBに設定されています。 
 
本機のNFB ON/OFF時のひずみ率特性とチャンネル間セパレーション(クロストーク)特性は下記のとおりです。
 
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■音質・・・音に風格を感じさせる聴きどころの多いアンプ 
アンプの音質を決める要素は様々あるわけですが、とりわけ出力トランスの品質が大きな影響を持つことはご承知のとおりです。今回はこのキー部品の新製品開発プロジェクトに参画できたことは、私にとりましても大変貴重な経験でした。

さて、肝心の『HK-30』の音質ですが、とても落ち着いた、そして風格を感じさせる300Bシングルアンプに聴こえます。ジャズのシンバル、弦とか女性ボーカルのしなやかさ、暖かみのあるピアノなど、聴きどころの多いアンプに仕上がった感があります。

管球王国VOl.65の本機発表記事に、小原由夫氏による本機の『HK-22』の評価記事が掲載されいています。合わせてご一読ください。
■■■■ →管球王国Vol.65・小原由夫氏によるHK-22の音質評価記事
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