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■「HK-23」テクニカル・インフォメーション■
☆☆タムラ新型トランス搭載機・第二弾・2A3シングル・ステレオパワーアンプ☆☆
☆☆2A3に最適設計された新型タムラトランス搭載☆☆
☆☆小音量再生でも痩せず心地よい音質を目指いしてバイアスの深い2A3をSRPPで力強くドライブ☆☆


■本機は2012年AUTUMN「管球王国Vol. 66」発表機です
■このページの技術情報は試作機の実測データが記載されています。素子のバラツキ等で個々の製品の特性は若干異なります。
■サンプル機試作後の検討で,一部設計が変更されているモデルもございます。
■詳細はメールにてご案内いたします。お気軽にお問い合わせ下さい。
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<写真のクリックで拡大します>
フロントビュー。左右独立ボリュームを装備。
真空管は整流管にエレクトロハーモニックス製5U4GB、300B、12AU7はゴールデンドラゴンを採用している。シャーシ天板部はシルバーヘアラインが標準仕様、シャンペンゴールドにも対応する
リアビュー。HK-22は電源、チョーク、出力トランスには2012年10月に発売された新開発トランスを採用している。
スピーカ出力は標準が8Ω/16Ω、4Ω/8Ω仕様にも対応する。
HK-22の内部コンストラクション。ISO時代に完成された12AU7によるSRPPドライブを本機にも採用、過去モデルで得た高音質回路をの踏襲する。
各トランスがリード線タイプで設計されているため内部にスペースが生まれ、整然としている。
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■HK-23・回路図・実体配線図・特性.pdf
モデル概要 ■タムラ新型トランス搭載第二弾・2A3シングル・ステレオ・パワーアンプ
■整流管整流
■自己バイアス方式
■ハムバランサー付
■300BフィラメントSBDによるDC点火・ハムバランサー搭載
■ECC99/12BH7によるSRPPドライバー回路採用
■NFB ON-OFF SW装備・・・・NF 6dB又は無帰還
■音量調整ボリューム
使用真空管 2A3x2本(ペアー) ECC82/12AU7x3本 5U4G/GBx1本
定格出力 3.1W 8Ω負荷 周波数1kHz ひずみ率5%時の出力
最大出力 5.4W 8Ω負荷 周波数1kHz ひずみ率10%時の出力
周波数特性 15Hz〜30kHz ±0.5dB以内 出力1W 8Ω負荷時
10Hz〜70kHz ±3dB以内 出力1W 8Ω負荷時
ひずみ率特性 0.5%以下 1kHz/10kHz/100Hz 出力50mW時
ゲイン 23.5dB 周波数1kHz
NFB 無帰還
入力端子 アンバランスRCA端子・入力インピーダンス100kΩ
出力端子 8Ω,16Ω (又は4Ω、8Ω)
残留雑音 1mVrms以下(VOL Mini時)
搭載トランス・型名
(いずれもタムラ製作所製)
出力トランス:F-912(2.5kΩ)
電源トランス:PC-932
チョーク:A-825(8H 200mA)
AC電源・消費電力 AC100V 50/60Hz・100W(無信号時)
寸法・重量 (W)370x(H)55x(D)250mm・・・シャーシの寸法
トランス,ゴム足含む高さ:約210mm
重量:約15kg
付属資料 回路図・実体配線図・部品表(A4版・印刷)
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『HK-23』の価格 
本機のリニューアルトランス搭載機は未発表です。完成品の販売は可能です。
詳細はお問合せ下さい。 
■本体と真空管セットの価格は消費税・送料を含みます。
(沖縄県・離島の方への送料は別途お知らせします)
■真空管のブランドは代理店の在庫都合等により変更の可能性もあります。
本体パーツ・キット 真空管を除く全パーツセット
真空管セット 2A3 Super M/P・Golden Dragonペアー(2本組)選別品
12AU7x3  5U4G/GBx1
完成品 手配線による組み立て・調整済
シャーシ・穴加工済み
(シャーシ単品販売です)
天板色:シルバーヘアライン・・標準
天板色:シャンペンゴールドも可
ご購入ご希望の方はメールまたはTEL/FAX:044-522-0926でお問い合わせください
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『HK-23解説・管球王国Vol.66抜粋』

■管球ファン待望のタムラの新型トランス搭載機第二弾
管球王国Vol.65ではタムラ製作所から発売された管球アンプ用トランスのF-913を使用しました300Bシングル・ステレオパワーアンプ『HK-22』をご紹介しました。このアンプは折に触れて聴いていますが、充実した低域、そして300Bが持つゴージャスな中高域を持ち、正に300Bシングランプらしい気品ある音質を奏でるアンプに感じます。引き続きVol.66では2A3シングル用に開発されました新型トランス「F-912」を使用した、2A3シングル・ステレオパワーアンプ『HK-23』をご紹介します。

新たに開発されました出力トランス「F-900シリーズ」は300Bシングルアンプ用に一次側インピーダンスが3.5kΩの「F-913」、2A3(又は45等の同等管)シングルアンプ用のに2.5kΩの「F-912」、そしてEL34他、多極管用として5kΩの一次インピーダンスを持つ「F-915」のシングルアンプ用出力トランス3種。プッシュプル用に開発されました一次インピーダンス5kΩの「F-915」の計4種類のライアップです。そして、それぞれの出力管に対応した電源トランスが3種とチョークコイルが同時に開発されました。

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→タムラトランス・900シリーズ・仕様.pdf

このラインアップの中で特筆すべきは一次インピーダンスが3.5kΩと2.5kΩが、それぞれ単独モデルでリリースされたことではないでしょうか。現行他社製品では3.5kΩと2.5kΩに対応させるために、一次巻線あるいは二次巻線をマルチタップとしている製品が多いのです。2A3、300Bそれぞれに見合うように最適設計がなされた出力トランスが搭載できれば、真空管の持つパフォーマンスを最大限発揮できるアンプに仕上がるものと期待できます。

私個人としては2A3は好みの真空管の一つでです。300Bに比べて容姿も定格も見劣りしますが、その音は何とも可憐で、決して誇張のない、いわば“もっとも真空管アンプらしい音”が2A3の持ち味であると思っています。

その一方で、2A3シングルアンプの設計は小出力アンプ故の難しさもあります。特に小出力なため小音量で聴く機会が多い2A3シングルアンプは小音量の再生でも音が痩せない、そしてふくよかで心地よい低域、言い換えれば小音量時のリニアリティがどこまで表現されるかでこのアンプの価値が決まってしまうのです。そしてこれがピタリと決まると、あの“2A3シングルアンプの音”が聴けるわけですが、それには2A3のブランドも重要な要素ではありますが、それ以上に的を得た回路設計と、品質の高い出力トランスの選定は重要なポイントになります。

私が管球王国で2A3シングルアンプをご紹介するのは2002年・第24号で発表しました『HK-3』以来10年ぶりとなります。今回新たに2A3シングルアンプ用に製品化された「F-912」が、私の描く“2A3シングルアンプの音”にどこまで応えてくれるのか期待しながら、2A3シングル・ステレオパワーアンプ『HK-23』を設計しました。
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■『HK-23』の回路構成は、300Bの実力を引き出す『HK-22』の回路を踏襲した
HK-23の全回路図、実体配線図、特性図は左記に掲載しました。       →HK-23・回路図・実体配線図・特性.pdf

300Bシングルアンプ『HK-22』の設計趣旨同様、新に開発されたトランスを使用するという背景もあり、過去モデルとの音質比較において遜色ない音質を確保することはもとより、新開発出力トランスの実力を最大限発揮できる、実績ある回路構成としています。
HK-23のレベルダイアグラムは左記のとおりです。

電圧増幅段には12AU7抵抗負荷増幅回路、この段のプレート電流は2mA、ゲインは20.7dB(実測)です。ドライバー回路は初段と同じく12AU7でSRPP回路を採用しています。
SRPP回路の負荷側のプレート電圧は約280Vを印加し、300B同様バイアスの深い2A3を充分にドライブできる出力電圧(ドライブ電圧)を確保しました。同時にSRPP回路は抵抗負荷増幅回路に比較して出力インピーダンスが低いため、出力管を高出力、低インピーダンスでドライブします。

そして、SRPP回路の音質は高域の煌めきと力強さを合わせ持つ高音質ドライバー回路です。本機のドライバー回路は300BシングルアンプHK-22同様、2A3の持つ実力を余すことなく引き出す回路を志向した回路設計です。

出力管2A3は自己バイアス回路、プレートにはタムラ・出力トランス「F-912(2.5kΩ)」が負荷され、プレート電圧は352Vを印加、プレート電流は約55mAの動作点になります。

この動作点でひずみ率5%の定格出力は3.1W、ひずみ率10%時の最大出力は5.4W(RL=8Ω)が得られています。この値は2A3シングルアンプの標準的な値が得られています。
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■出力トランス「F-912」、電源部回路について         →タムラトランス・900シリーズ・仕様.pdf
本機で採用されている出力トランス「F-912」は2A3(又は45など)シングル用に開発された出力トランスで、一次インピーダンスは2.5kΩです。本機は無帰還アンプとし、オーバーオールゲインは実測23.7dBの設定です。

電源トランスとチョークコイルは、出力トランスのデザインに合わせた新製品を使用しました。2A3シングル・ステレオパワーアンプ用の電源トランスは「PC-932」、B巻線は整流管整流用にAC320V、ダイオード整流用のAC280V、定格負荷電流はDC170mAの巻線仕様です。

チョークコイル(パワーインダクター)は、定格8H 250mA、型名は「A-825」です。B巻線は、整流管5U4GB(又は5U4G)による整流管整流回路としています。

整流出力のDC電流(+B電流)はトータル約120mA流れますが、定格負荷電流170mAに対しては余裕があり、このくらいの負荷電流ですと熱飽和後の電源トランスの発熱はさほど大きくはありませんが、ケース入りの電源トランスは伏せ型のトランスと比較してコアサイズが小さくなり、どうしてもケースの表面温度は上昇してしまいます。このアンプに限りませんが、特に夏場は風通しの良い場所に設置してお使いください。。
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■本機の特性・・・・新型トランスの高い性能が活きた素直な特性
本機の一般特性はこのページ<→HK-23・回路図・実体配線図・特性.pdf>の下部4ページにご紹介しています。

本機は無帰還アンプですが、初めて使用する出力トランスが示す周波数特性には大いに興味があるところですが、結果は図に示すとおりとても素直な特性を示しています。100kHz以上の高域周波数は、出力トランスの周波数特性に依存するところが大きいわけですが、トランス単体での周波数特性を数値だけで欲張ると、アンプ実装時の周波数特性に大きなうねりを生じてしまいます。

「F-912」の高域特性は、300Bシングル用の「F-913」同様大きな破綻もなく実に素直なインピーダンス特性を持った出力トランスです。

ひずみ率特性は各周波数での特性が良く揃っていて、しかも出力の増加とともに素直に増加して行く特性は、電圧増幅段と出力段との間で大きなキャンセルも見られず、大変好ましいひずみ率特性が得られています。

2A3のフィラメントはAC点火ですが、ハムバランサー調整後の残留雑音は0.32mV/R、0.56mV/Lと充分な低ノイズアンプに仕上がっています。

入出力特性が示されていますが、本機は無帰還アンプで、ゲインは23.7dBに設定されています。

チャンネル間セパレーション(クロストーク)特性と本機のダンピングファクター/出力インピーダンス特性は下記のとおりです。

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■音質・・・エレガントかつまろやか。正に“2A3シングルの音”  →管球王国Vol.66・篠田寛一氏による音質評価記事
最近MJOの『ラスト・コンサート』をよく聴いています。録音は1974年のライブ録音とかなり古い音源ですが、録音の古さを感じさせないこの高音質CD 2枚組をPCにリッピングしてリピート再生しています。

聴き方はBGM的ですが、長時間再生では少しでも耳につく刺激的な音が出てくるとボリュームを絞りたくなってしまうものです。冒頭に述べましたとおり、2A3シングルアンプは、こうした小音量での長時間再生にも十分耐え得るアンプでなければなりません。

今回製品化されましたタムラの新型トランス「F-912」を搭載した『HK-23』は私が描く“2A3アンプの音”をよく表現してくれました。円熟したMJQのメンバーが奏でる軽快な演奏をクッキリと再生しつつも、エッジが立つことはありません。エレガントにしてまろやかな音は、正に“2A3シングルの音”に聴こえます。

管球王国VOl.66の本機発表記事に、篠田寛一氏による本機の評価記事が掲載されいています。合わせてご一読ください。
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