★送信管 『4P55シングル・ステレオパワーアンプ』 製作記★・・・構想編
 整流管『WE705A』・倍電圧整流・プレート電圧1000V・送信管アンプ


 
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  ■整流管は「WE705A」を使用   
写真でご紹介した球は「WE 705A/VT255」という傍熱型半波整流管である。この球を入手したのは、かれこれ20年程前であっただろうか。たまに取り出しては眺めるのだが、いつ見ても綺麗な球でお気に入りの一本である。いつかはこの球を使用した送信管アンプを作ってみたいと思って久しいのだが、今だ製作のチャンスを逸していた。

整流管であるので電極は極めてシンプルな構造である。フィラメントはトリエーテッド・タングステン(トリム・タングステン→トリタン)、煌々と輝くいわゆる“ヒカリ物”とも言われるこの球は、整流管とはいえ眺めているだけで反応の良い透き通るような音が聴こえてくるようである。

定格スペックはフィラメントが5V/5A、プレート耐圧30kV(ピーク)、プレート電流は375mAの傍熱型の半波整流管である。この整流管を2本使った倍電圧整流回路をメインの電源として、送信管アンプを製作することにした。

WE 705Aは俗に送信管と言われる真空管の中では中型管に属する球である。フィラメントの定格5V/5Aは決して少なくはないのであるがさほど大掛かりな電源にはならない。

これ以上の定格を持つ整流管は他にもたくさんあるが、フィラメントの点火だけで10V/10Aもの電源を準備しなければならない球もありいささか躊躇してしまうのである。その点この球は外形寸法も手ごろな大きさでもあり、送信管アンプの整流管としては外観も存在感もバランスの良い球であろう。

ソケットはジョンソン製、写真のとおりこれも存在感あるソケットである。このソケットはWE 715/5D21などともコンパチである。手前に見えるのはロック・キー、真空管を装着後キーでロックしてしまえば戦闘機にも搭載可能!?、正にミリタリー・ルックス丸出しの仕様である。
 
WE 705A/VT255(↑)とソケット(↓)
アンプの製作動機にはいろいろあると思う。普通は出力管を眺めながらその球から出てくる音を想像しながら「これでアンプを作ってみたい!」、あるいは「この出力トランスでアンプを作って見たい!」と思うのが一般的であろう。しかしこのページでご紹介する送信管アンプは『整流管・WE 705Aを使ってみたい』と言うだけで、結構大掛かりな送信管アンプを計画してしまったのである。
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■真空管のラインアップ・出力管は『4P55』
整流管WE705Aにふさわしい出力管はどうするか。送信管のストックは大小いろいろあるが845とか211では面白みに欠けるし、過去さんざん作ってきたので新鮮さにも欠ける。811Aとか572Bクラスでは役者不足。RCA803などと言うジャンボな直熱五極管などもあるがこの球では大きすぎる。

話が少し飛んで恐縮ではあるが、出力トランスはタムラのあの大型トランス『ビルトライト』の手持ちがあるのでこれを使用することにしている。そこで取り出したのは、トップに2本の電極を持つ変調管『4P55』である。1本がプレート(赤マーク)、他の1本はサプレッサーグリッド(G3)である。

4P55の外形寸法は胴回りφ75、トップの電極を含めたシャーシ上の高さは約145mmである。小型とは言いがたいがタムラのビルトライトトランスとのバランスは良好である。

プレート定格は1500V/120W、スクリーン・グリッド(SG)耐圧は400Vである。プレート電圧を400V以下に設定すれば、お決まりの3結あるいはUL動作の回路も可能であるが、それではWE 705Aも4P55も真価は発揮できないであろう。

送信管アンプ、特に大型の電極を持つ球で作るのであればプレート電圧1000V(近辺)アンプ以外は念頭にはない。従って4P55のSGは300V前後のバイアスを印加した『4P55・ビーム管接続シングルアンプ』と決めたのである。ただこの場合はローカルNFBとオーバーオールNFBを併用した、マルチループNFBアンプとなるのであろう。

4P55は傍熱管、ヒーターは6.3V/2.6AでOK、この手の真空管で6.3V/2.6Aは極めてリーズナブルなスペックである。反面ヒーターを点火させても電極の奥でひっそり赤く光るのが見える程度である。

■電圧増幅管はオールメタル管
五極管 RCA 5693、GE 5693を採用

電圧増幅管はオール・メタルチューブで行くことにした。写真の赤い球は6SJ7GTの高信頼管RCA 5693、黒いのがGEの5693である。RCAの5693赤球は結構貴重な球で、あいにくストックは4本しか手持ちがなく、やむなくGEの黒球を2本使用した。

5693は五極管である。これで電圧増幅部も含めてオール五極管の揃い踏みとなる。三極管全盛の真空管アンプ製作にあって、少しヘソ曲がりな真空管ラインアップの選択である。しかし5693は全段五極管接続の回路構成で使用するわけではない。どんな音のアンプになるのであろうか?、完成が楽しみである。

整流管がもう一本見えるが、電源トランスを2個使用せざるを得なくなり、4P55のSG電圧を別電源としため整流管5R4WGBを使用した。RCAのメタルチューブ5T4も何本か手持ちがあるので、場合によってはこの5R4もメタル管とすることができる。

このアンプで使用する真空管ラインアップはこれで決まったわけであるが、もっぱら見た目で選んだ真空管ラインアップである。しかしこうして並べてみると、いかにもヘビーデューティーな送信管アンプらしさが見えてくる。
 
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■4P55(4P56)の概要と規格
4P55は1960年代に東芝が開発した『発振増幅変調用・空冷五極管』、純国産球である。当時のAM放送用送信機の変調器あるいはファイナルのドライバー管として、もっぱら放送局へ納入される送信機器に使用されていた球である。真空管としての製品規格はNHKが定めた規格により製造管理されていて、NHK規格に適合する証として、管面には『NHK』と印刷されている。4P55(4P56)は放送局のみならず、大型船舶に設備されている無線機などにも使われていた送信管でもある。4P55は最近ヤフオクで購入した2本を含めて4本所有するが、このアンプで使用するのはHITACHI製の2本を使用することにする。

4P55のヒータは6.3V/2.6Aであるが、ヒーターを12V(1.6A)仕様とした『4P56』がファミーリー球として存在する。手元の真空管マニュアルの中に『4P56』の規格があったので、ヒーターの規格を『4P55』(6.3V/2.6A)に置き換えて下記にご紹介する。
 
  最大定格    動作例・AB1 PP  
Ef/If 6.3V/2.6A Eb (V) 1250
Eb max 1500V Ec2 (V) 300
Ec2 max 400V Ec1 (V) -60
Pc2 max 15W Ec3 (V) 0
Pp-in max 300W Ib 0 (mA) 20
Pp max 120W Ib max (mA) 280
μ 5.5 Ic2 (mA) 20
gm 6.5mモー
/100mA
Po (W) 220
ZL (kΩ) 8.8
外形寸法:ピンを含む全長=160mm  最大直径=75mm
 
4P55はプレート電圧1250V、AB1 PP、プレート負荷8.8kΩで220Wの出力が得られる。プレート電圧が1250Vと高圧にもかかわらず、グリッドバイアス(Ec1)が-60Vと言うのが好ましい。コントロールグリッド(G1)への入力信号の振幅は42〜45Vrms程度で最大出力220Wが得られると言う値である。しかし油断は禁物、良質な120Vp-p前後の振幅が得られる強力ドライバー回路を準備することにしよう。

静特性データ(Ep-Ip特性)がないので直ぐには負荷線が引けないが、上記の動作例から推測すると、プレート電圧1000V、出力トランス一次側インピーダンス10kΩ、A1シングル動作で40〜50W位の最大出力が期待できる。
 
■4P55ピン配置
4P55のピン配置は下記のとおりである。トップの電極は写真右・赤がプレート、左がG3である。
 
     
 
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■イメージスケッチ
このアンプに使用する予定のキーパーツをご紹介する。
■電源トランス:TAMURA「PC-3013」 ISO「S-2154」
■出力トランス:TAMURA「F-2012」x2
■チョーク:3個 ブロックケミコン:5本 他
真空管ラインアップは上記のとおり

主なパーツは上記のとおりである。これらを搭載するにはワンシャーシで組むのはとてもとても無理である。あれやこれやパーツを並べてみて、結局タカチのSL-20を2台使用した2階建て構造を採用した。

イメージスケッチ下が電源部、上のシャーシがアンプ部の構成である。SL-20の寸法は450(W)x305(D)x65(H)、このシリーズの中では一番大きなシャーシである。ラックは木製で自作、要所要所には感電防止のアクリル・バリアを付けることにしよう。

総重量は30kgを超えるヘビー級となるのでラックはキャスター付き、無信号時の消費電力は350W/50Hz位を想定している。

■製作編に続きます■


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